フリーマンの随想

その 90. 富士山一周ドライブ

( Nov. 30, 2017 )


 10年前、旧東海道500kmを歩き通した時のような体力はもうないけれど、どこか面白いところを歩いてみたいと思っていたら、ある旅行会社のパンフレットに、 「 富士山すそ野グルリ一周ウォーク 」というのがあったので、それに参加しようかなと思い、検討してみました。

 すると、順序は任意ですが全部で17回に分けて歩くのだそうで、真夏や真冬を避けて月に1回か2回のペースで参加していたら、歩き終わるまでに2年くらいかかってしまいます。 自分の年齢を考えたら、これは無理です。

 では自分一人で歩いたらどうかと考えましたが、自分の車でこの地域まで行くとなれば、歩いた後で、また車を駐車しておいた元の地点まで戻らなくては家に帰れません。  公共交通機関はどうかというと、自宅からこの一周のコースの付近にかけては、鉄道や路線バスがほとんど走っていませんから、これらを使って往復することも出来ません。

 そこで仕方なく、一泊2日で車で一周してみようと考えました。 あちこち寄り道せず一周だけなら約120kmで、若い人なら1日で回れるのだそうですが、私たちは、ゆっくりと一泊2日で回ることにしました。

 とは言え、ただぐるりと一周ドライブするだけでは能がありません。 そこで、富士山の周囲に沢山ある 浅間 ( せんげん ) 神社 のうち、主なものだけでも順に訪ねてお参りしようと考えつきました。

 浅間神社とは、富士信仰に基づいて 富士山を神格化した浅間大神 ( 浅間神 )、 または浅間神を記紀神話に現れる木花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)と見てこれを祀る神社だそうで、北海道から広島にかけて全国には約1300社もあるとのことです。*

 当然のことですが、その多くは静岡、山梨およびその近県に散在しており、静岡県富士宮市の富士山本宮浅間大社が総本宮とされています。 富士山には、古来いくつもの登山道がありますが、 各登山道の登り口にはそれぞれ浅間神社があって、登山者はまずそこに参拝し無事安全を祈ってから登山をしたと言われています ( 下記 )。 もちろん、富士山の頂上にも浅間神社はあります ( 富士山頂上浅間大社奥宮 )。

 表口 ( 富士宮口 ) :富士山本宮浅間大社
 村山口:富士根本宮村山浅間神社
 南口 ( 須山口 ) :須山浅間神社
 御殿場口:新橋浅間神社
 東口 ( 須走口 ) :東口本宮冨士浅間神社
 北口 ( 吉田口 ) :北口本宮冨士浅間神社

 富士山は西の富士宮口が正面 ( 表口 ) だったと、今回初めて知りました。 頂上の 「 富士山頂上浅間大社奥宮 」 も、富士宮口から登りきったところに在るようです ( 東口、北口などからの登山道の頂上には、 奥宮の末社の富士山頂上久須志神社というのが在るとのこと )。

 いろいろと調べた末、私は、次の9つを選んで、この順に ( 時計回りに ) 参詣しながら富士山を一周ドライブすることにしました。

 @ 静岡県御殿場市 新橋浅間神社
 A 静岡県裾野市 須山浅間神社
 B 静岡県富士宮市 山宮浅間神社
 C 静岡県富士宮市 富士根本宮村山浅間神社
 D 静岡県富士宮市 富士山本宮浅間大社
 E 山梨県富士河口湖町 富士御室浅間神社
 F 山梨県富士河口湖町 河口浅間神社
 G 山梨県富士吉田市 北口本宮富士浅間神社
 H 静岡県駿東郡小山町 東口本宮富士浅間神社

 出かけたのは11月9〜10日で、ちょうど紅葉が見ごろの頃で、ことに山梨県内では神社の境内などで美しい紅葉が見られました。 各神社では参拝するだけではなく、 朱印帳を持参して記帳していただきました ( 40年ほど前に多くの社寺の朱印を集めていた当時は、どこの社寺のものも流れるような、美しい筆跡でしたが、今回は残念ながらそういうのにはお目にかかれませんでした。  政治家でもTVに出てくる評論家でも、以前は多くの人が達筆でしたが、現在はそういう人に殆どお目にかかりません )。

 総走行距離は自宅から出発 ( =終着 ) 点まで往復する距離を加算すると丁度200kmでした。 夫婦が8:2くらいの比率で運転しましたが、合計167歳の老夫婦にとって、 半分以上は初めての不慣れな道 ( しかも、なぜかあちこちが工事中で迂回させられた ) を一日100km走るのは、やはりちょっと無理だったようで、帰宅後は二人とも数日間グッタリと疲れました。  たぶんもう二度とこの種の過激なことはしないでしょう。 なお、参詣その他に要した一日の歩行距離は5000歩 ほどでした。 左上の写真は、巨木に囲まれて静かな森の奥にひっそりと佇むAの須山浅間神社です。


*:富士山は古くは 「 福慈神 」、「 不尽神 」 などと記載されるような霊妙な神山・日本鎮護の神山であったが、奈良時代末から火山活動が活発化し、火山神 ( 浅間神 ) としての信仰 ( 浅間信仰 ) が全国に広がった。  「 浅間 ( あさま ) 」 の語源については諸説あるが、長野県の浅間山のように火山を意味するとされる。 「 あさま 」 は古称で、「 せんげん 」 は中世以降から用いられたとされる。 ( Wikipediaから抜粋させて頂いた )


ご感想、ご意見、ご質問などがあれば まで。

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このコラムは、もともとはグリンウッドで働く友人たちとそのご家族向けに、私や家族の動静、 日本や特に足柄地域の出来事などをお知らせしようと、97年初めから「近況報告」 という名でEーMAILの形で毎月個人宛てに送っていたものです。 98年2月以降はホームページに切り替え、毎月下旬翌月分に更新してきました。 ところが最近、日本に住むグリンウッドをご存じない方々も多くご覧になるようになってきたので、 同年7月から焦点の当てかた、表現などをを少し変えました

この先です。