YO MALE / COUMBA GAWLO


 
  YO MALE / COUMBA GAWLO
    (RENDEZ-VOUS/BMG 74321579732,FRANCE,1998)  
 (1) PATA PATA                              3'25"  
 (2) HOMELESS                               3'07"
 (3) JE SUIS VENUE TE DIRE QUE JE M'EN VAIS 4'22"
 (4) XALE BI                                3'23"
 (5) ATTENDS-MOI                            3'46"
 (6) AMINE                                  3'12"
 (7) FA FA FA FA FA (SAD SONG)              3'23"
 (8) WAXKAT BI                              4'33"
 (9) YO MALE                                4'30"
(10) Y'A LA VIE                             4'43"
(11) KOR-DIOR                               4'00"
(12) SENEGAL                                3'19"
(13) FAT KINE                               1'32"

KINE LAM、ABY NDOUR、AMY KOITA、KANDIA KOUYATE、RAMATA DIAKITE、NAHAWA DOUMBIA、ROKIA TRAORE、OUMOU DIOUBATE、今、西アフリカの女性ボーカルが面白い。特別新たな展開が生まれている訳でもないが、聞きごたえのある新譜揃いで、取っ替えひっ替え聞いていると飽きない。

中でも最高の1枚がこのクンバ・ガウロ・セック(COUMBA GAWLO SECK)である。

どこが良いかというとまず抜群に声が良いこと。アフリカ的なものと西洋的の要素との融合に成功していること。そしてサウンド・プロダクションの良さが挙げられる。

彼女の声、中域はちょっと鼻にかかって詰まり気味で可愛らしく、高域も柔らかく伸びて耳に優しく響く。ややかすれた感じで決して透き通る声ではないが、キネ・ラムほどのザラツキ感はない。

何気なく聞くと、ありきたりなポップスを歌っているだけに聞こえるかも知れない。しかし、その背後にはセネガルのポピュラー音楽の歴史的蓄積とでもいうものがしっかり感じ取れる。また親指ピアノなど、さまざまな伝統楽器の用い方も効果的だ。アフリカと西洋の同居は選曲を見ると分かり易い。西洋のスタンダード(3)(7)も、セネガルに古くから伝わるらしい(9)も、ミリマム・マケバで知られる両者の中間的(1)にしてもすべてが成功している。

そしてサウンド・プロダクション。1曲目でのSLY AND ROBBIEの参加が話題になりがちだが、例えばホーンズにしても、コーラスにしても、なかなか贅沢な作りだ。ただし、ところどころ歪んでいる録音はどうにかならないものか。

特別気に入ったのが(6)(8)(9)の3曲。
6曲目はギターのフレーズを除くとアフリカ的でないという声が聞こえてきそうだが、そんなこと関係ない。切ないメロディーが胸にせまる良質なポップ・ソング。
8曲目の "WAKAT BI" はンバラ的弾み方が最高で、ほとんど女性版YOUSSOU ET LE SUPER ETOILEだ。
そしてフォルクローレを歌った9曲目、彼女の良さが最も表れているのではないだろうか。本当に美しい曲だと思う。

できればこの(8)(9)の路線でアルバム通して欲しかったというのが本音だ。けれど、(1)(3)(7)のような曲が多いほうが地元でもヨーロッパでも売れるのだろう。

ところでこの COUMBA GAWLO、突然現れた新人かと思ったら、意外とレコーディング歴が長い。( DISCOGRAPHY OF COUMBA GAWLO SECK 参照)
カセットやCDのクレジットをみると、HABIB FAYE、THIONE SECK、SEKOU BEMBEYA、CHEIKH LO、DIANKA DIABATEといった名前が目を引く。これまでの活動で培ってきた人脈の広さも彼女の強みとなっているのだろう。


(1999/07/16)
(2000/02/24 改)

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