<<< BEST ALBUM - 2002 >>>


SECTION 1 - NEW RECORDING

[NO.1]   SPECIALIST IN ALL STYLES / ORCHESTRA BAOBAB (SENEGAL)

[NO.2]   NOTHING'S IN VAIN (COONO DU REER) / YOUSSOU N'DOUR (SENEGAL)

[NO.3]   ○TIMBUKTU / ISSA BAGAYOGO (MALI)

[NO.4]   ○PASAPORTE MUNDIAL / LAS HIJAS DEL SOL (EQUATORIAL GUINEA)

[NO.5]   MOFFOU / SALIF KEITA (MALI)

[NO.6]   ○SAMORY / ABDOULAYE DIABATE (MALI)

[NO.7]   ○BA TAY / YOUSSOU N'DOUR (SENEGAL)

[NO.8]   ○SINIKAN / SEKOUBA BANBINO (MALI)

[NO.9]   ○HOME COOKING / TONY ALLEN (NIGERIA)

[NO.10] BLACK IVORY SOUL / ANGELIQUE KIDJO (COTE D'IVOIRE)
[NO.1]
[NO.2]
[NO.3]
[NO.4]
[NO.5]
[NO.6]
[NO.7]
[NO.8]
[NO.9]
[NO.10]


極めて個人的な判断基準に基づいて選出するアフリカ音楽のベスト10−2002年版−です。その判断基準なのですが、個人的に良く聴いたもの、完成度の高いもの、そしてオリジナリティーを強く感じさせるものといった点を重視しました。2002年は近年希に見るアフリカ音楽の豊作年。01年とは対照的に、特に新録ものの充実振りが凄かったので、昨年のページとは逆に新録盤のベスト10を先に掲載します。

実はバオバブの復帰作を1位にすることだけは、とうの昔から決めていた。全然新しいことをやっていないという意見もあるけれど、これほど飽きさせない音楽というのも珍しい。別に斬新なことに挑んでいなくても、それが隙のない完璧なサウンドであれば、何物にも勝ることを示した素晴らしい一作。昨年最も頻繁に聴いた1枚で、彼らのタイトで、なおかつ、まろやかなサウンドには完全に脱帽です。振り返ってみると昨年はセネガリーズ・アフロ・キューバンが世界を席巻した感のある1年だった。多くの方が感想を漏らしている通り、昨年はキューバ音楽に全く勢いがなかった(ブラジルもか?)と、私も同様に嘆いていたのだけれど、そのキューバ音楽がセネガルに先祖帰りし再生されたかのような趣さえ湛えるバオバブやPAMの一連の作品が、そうした穴を埋め合わせしてくれたと思う。

以降はほとんど何でもいいと言ってしまいたいくらいの気分の2位から10位。いろいろ入れ替えてはみたものの、どう並べてもしっくりこないので、余り順位は気にせずに。私の音楽的な趣味が出ているものと受け止めて下さい。実はユッスー・ンドゥールの2枚も、サリフ・ケイタも、セクーバ・バンビーノも、ベスト10に入れるつもりはなかったし、これだけ候補の多い年だったので、他のラインナップも考え得るのだけれど、何故か結局こうなった。もしかすると8〜10位には、かわりにセネガリーズ・アフロ・キューバンのどれかや、パパ・ウェンバあたりを入れても個人的には納得できるかも。ですが、選んだアルバムはいずれも聴く度に楽しませてもらった見事な作品ばかり。

2位と7位のユッスーの2枚には中途半端さも感じられて不満もあるのだが、やはり彼の示すオリジナリティー溢れるサウンドにはかなわず、これらも超ヘビー・ローテーションとなった。昨年春先にはベルシーでのライブ盤も聴きまくり、彼の健在振りを確認させられたし。

3位と4位は自分のサウンド嗜好が出た結果だろうか。これらをベスト作に選ぶ方は少ないかも知れないけれど、いつ聴いても気分が良くなった大切な愛聴盤。彼らのアルバムは前作も未だに飽きないのだが、今回も期待通りの作品だった。一般的な見方をすると、セクーバ・バンビーノやアンジェリック・キジョーの完成度の高さを評価すべきなのだろうし、これら10枚の中では、完成度で言えばS・バンビーノが一番かもしれないが、極論すればS・バンビーノのサウンドは別に彼でなくても作れるものと言えるし、アンジェリックは良質なポップを提示してくれたものの、足下のおぼつかなさといった面も感じてしまう。それでも、どちらも昨年のワールド・ミュージックの代表作には違いない。

プロが選んだランキングなどでは、ライブも好評だったサリフを1位に推す方が多いけれど、私は今作をそれほどまでは評価していない。その証拠に聴いた回数はかなり少なかった。きっと何かが欠けていることを示しているのだろう。それでも5位にしたのは、世間体を気にしてのことで(?)、という冗談はさておき、別に無難に3位あたりにしても選外でも構わない気がする。サリフに比べると、3位のイッサや6位のアブドゥライの方が遥かに突き抜けたサウンドで、とにかく痛快! 好きです。

6位以下はもう厳正な比較など不可能なので、ほとんど今の気分で並べた。それにしても、バーバ・マールを除くと、ほとんどのビッグ・ネームが新作を発表したというのは、振り返ると凄いことだ。やっぱり選外にした作品の中にも選ばなかったことが惜しいものがかなりある。しかもそのバーバ・マールにしても、『1 GINAT LEAP』や『BLACK HAWK DOWN』で圧倒的な存在感を示してくれたのだった(W杯の開幕戦、ソウルのスタジアムで聴いた彼の生の歌も懐かしい)。

あと、企画盤やコンピレーション盤にも優れた作品が多かったことは特筆すべきだろう(特に下に掲載した3枚が印象深い)。それと、昨年と同様、私がライナーを執筆したアルバムも何枚か入っているけれど、それらは本当に好きなアルバムなのでライナーの依頼を引き受けた、ということが反映されているまでで、他の意味は全くありません。

西アフリカを中心とするアフリカ音楽のパワーが爆発し、さらにそれが世界中の音楽シーンに多大な影響を及ぼしていることを実感させてくれて、「ワールド・ミュージック=アフリカ音楽」とさえ言えそうな様相を呈した2002年に続いて、今年はどんな作品が生み出されるか、今からとても楽しみだ。


SECTION 2 - REISSUE
[NO.1]   ○THE HISTORY OF TOWNSHIP MUSIC (SOUTH AFRICA)

[NO.2]   ○GHANA SOUNDZ : AFRO-BEAT, FUNK AND FUSION IN 70'S GHANA (GHANA)

[NO.3]   ○YOUSSOU N'DOUR ET LE SUPER ETOILE DE DAKAR VOL.1 (SENEGAL)

[NO.4]   ○ELECTRIC HIGHLIFE : SESSIONS FROM THE BOKOOR STUDIOS (GHANA)

[NO.5]   ○GHANA POPULAR MUSIC 1931-1957 (GHANA)

[NO.6]   ○SENEGAMIBAN SENSATION : VIVA SUPER EAGLES (GAMBIA)

[NO.7]   ○TANGO YABA WENDO / FRANCO (CONGO)

[NO.8]   ○OUZA & SES OUZETTES 1975-1990 (SENEGAL)

[NO.9]   ○PAULSON KALU :  GREATEST HITS VOL.1 (NIGERIA)

[NO.10]  ○THE MUSIC IN MY HEAD 2

[NO.1]
[NO.2]
[NO.3]
[NO.4]
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[NO.6]
[NO.7]
[NO.8]
[NO.9]
[NO.10]


リイッシューにも良い作品が続出したけれど、年間ベスト作に相応しいアルバムを選ぶというレベルからすると、厳しく判断すれば今年はベスト5に減らしても良いかとは考えさせられた。実は01年リリース作が3枚ほど混じっているし、最終的に選んだ10枚にしても、上位5作と下位5作とでは、若干の開きを認めざるを得ない。

まず1位。これは昨年のベスト10選出段階で早々に落とした作品。しかし、入手した昨年末以降、繰り返し聴くうちにその素晴らしさを認識したこともあって、今年のベスト10で復活させた次第だ(国内盤が今年発売になり、結構あちこちで取り上げられたことでもあるし)。南アの黄金時代のトラックをこれまでも数多く聴いてきたつもりだったけれど、まだまだ珠玉のような曲がたくさん残っていることを知り驚かされた。全編宝石のようなサウンドが詰め込まれた素晴らしいコンピレーション。

2位もビックリするようなマスターピース揃いながら、全てが未発表/未復刻レアシングル曲、等々というとんでもないコンピレーション。今イギリスのレーベル自体が現在ストックを切らしていて、日本に入ってくるのは遅れているが、今月にはアメリカ盤を出す予定だし、国内盤も出そうな状況なので、今年早々には皆さんも楽しめるはず(すでにLPを買った方も多いかな?)。最後の方の数曲の出来が今ひとつなのだが、それでもこれを1位にしてもいいくらいだ。

アフリカもののリイッシューというと、どうしても編集盤が多くなってしまうのだが、3位のユッスーはシュペール・エトワールの最初期のアルバムのひとつをまるごと復刻したもので、個人的にもこの復刻はかなりの衝撃だった。このシリーズあと3枚リリースされると予告されているのだけれど(カセットはすでに4本出ている)、80年代の彼の作品は全てCD化して欲しい。

4位と5位はガーナの実に貴重な音源をリイッシューしたもの。ただし、残念ながら瞬く間にマーケットから消えてしまった。こうしたCDは見逃さないように注意して、見つけたら躊躇せず手に入れるようにしないと後悔することになる。未だに聴けずに困っている方が多いという、悩ましいCDである。

さて、昨年のこのページでは、「来年はフェラが1位で、ガーナとセネガルに期待」と書いたのだけれど、そのフェラの3枚組が発売延期になったことと、ヒュー・トレイシー・シリーズの新作が出なかったことが、残念。それに対して、本当にガーナとセネガルの復刻作に優れたものが多かったのは嬉しかった。来年こそはフェラとクーラ・ロビトスの完全復刻が実現することと、ガーナやセネガルの復刻が順調に進み、未復刻のままの本丸とも言える肝心な作品群のCD化がなされることに期待したい。


(2003/01/01)

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