FELA KUTI in 60'S


Fela Kuti and His Koola Lobitos (EMI, PNL 1002,1965)


発見されたファースト・アルバム

フェラ・クティの60年代がムチャクチャに面白い。そう言われてピンとくる人はまずいないことだろう。フェラ・クティという人物が、西アフリカのナイジェリアで最高のミュージシャンの一人であったことを知っている方でも、フェラのファースト・アルバムは69年にLAで録音した "The '69 Los Angeles Sessions" ではないかと反論したくなるかも知れない。

93年になって初めてリリースされた "The '69 Los Angeles Sessions" のCDの日本語解説文にも、「フェラというヤツは最初の最初からこんなにも見事に自分の音楽を確立していたんだ、、、」と書かれているが、実は私自身もフェラのレコーディング活動は69年に始まったと無意識にとらえていた。以前、深沢美樹氏が「レコード・コレクターズ」誌に連載していた、フェラ・クティのレコード紹介も読んでいたが、これまでフェラの音楽を熱心に聞いたことがなかったこともあり、フェラは70年代以降のミュージシャンと漠然と考えていた。

ところが最近、深沢氏と並ぶフェラ・クティ研究の第一人者、名古屋市の遠藤斗志也氏による調査が進み、これまで考えていた以上に、フェラは60年代に活発にレコーディングを行っていたことが分かってきた。その内容については遠藤氏がご自身のサイト上で詳細に報告されており、また近い将来、フェラの60年代までの活動についてとりまとめられることも期待される。そのような訳で、フェラの60年代に関する研究は遠藤氏の仕事と考えている。

ところが、昨年来このサイトの「WANT」のページにフェラ・クティのファースト・アルバムに関する情報を募集していたのだが、幸運なことに遠藤氏にご尽力をいただいた結果、最近このLPの音を聞くことができた。これがなかなか興味深い内容で、大変に楽しんで聞くことができた。できることならば、このサイトを訪ねて下さるようなアフリカ音楽ファンのみなさんにも聞いていただきたいのだが、このLPのリイッシューなどとても考えられない。それ以前に、日本でこのアルバムについて知っているのは、遠藤氏と私くらいなものだろう。そこで、とりあえずこんなLPが存在していることをお伝えしつつ、フェラ・クティの60年代について、私なりに要約してみたいと考えた。


50〜60年代の年表

1955年頃〜 ヴィクター・オライヤのハイライフ・バンドでシンガーとして活動。
1958年   渡英、トランペットと楽理を学ぶ。 
       クーラ・ロビトス(KOOLA LOBITOS)結成。
1961年   結婚。
1962年   長男フェミ誕生。
1963年   ナイジェリアに帰国。
       クーラ・ロビトス再結成。
1967年   ガーナへ演奏旅行。
1969年   渡米。"The '69 Los Angeles Sessions"。

60年代の録音歴

遠藤氏の作成したディスコグラフィーを見ると、渡米までの期間、Fela Ransome-Kuti & His Highlife Rakers、The Highlife Jazz Band、Fela Ransome-Kuti & the Koola Lobitos のバンド名で、40〜50曲に及ぶ大量の録音を行っている。そのうちの一部はロンドンでの録音と考えられる。

さてこれらの録音について解説したいところだが、現在、上にジャケット写真を掲載したフェラのファースト・アルバムのディスク・リビューを作成中なので、まずそちらをご覧下さい。

この続きはまた次回とするが、遠藤氏の調査を通じて、60年代のフェラの録音が予想以上に多く、またその内容もすぐれていることが、分かってきた。そしてそれらはアフロビートが形成される過程を知る上でも第一級の資料であるだけに、何とかまとまってリイッシューされないものかと願っている。

(to be continued...)


References
  「 遠藤斗志也 Discography of Fela Anikulapo-Kuti
  「 深沢美樹「フェラ・クティの全アルバム」レコード・コレクターズ1994年3月号〜1995年3月号
          (ミュージック・マガジン)
  「 マビヌオリ・カヨデ・イドウ「フェラ・クティ - 戦うアフロ・ビートの伝説 - 」(晶文社、1998)
  「 T.Ajayi Thomas "History of Juju Music" (Thomas Organization, New York, 1992)

ultra special thanks to : ENDO Toshiya、T.Ajayi Thomas.

(2000/01/25 Ver.1.1)


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