MY FAVORITES [1]
FELA KUTI & THE KOOLA LOBITOS (EMI/PARLAPHONE PNL 1002,1965) (A) SIGNATURE TUNE 0:20 IT'S HIGHLIFE TIME 5:15 LAGOS BABY 3:30 OMUTI 3:46 OLOLUFE 5:10 ARABA'S DELIGHT 4:52 (B) WA DELE 4:00 LAI SE 4:06 MI O MO 4:35 OBIRIN IE 4:44 OMO EJO 5:00
未だに信じられないことだが、日本ではこれまで存在すら全く知られていなかった、フェラ・クティのファースト・アルバムの音を実際に聞くことができた。盤そのものの確認はしていないが、これは1965年にナイジェリアでリリースされたLPで、1963〜65年の間に、フェラと彼のバンドであるクーラ・ロビトスの名義で発表されたシングル曲を集めたアルバムらしい。
これまでに出た各種の研究書や記事を読んで分かるように、60年代も彼にとってなかなか苦労の耐えない時代だったようだ。苦労といってももちろん、70年代以降に繰り返される、ナイジェリア政府、軍隊との対立とは次元を異にするものではあるが。5年に及んだイギリス留学から63年に帰国した後、彼の音楽は、ハイライフ、ジャズ、ソウル、R&B、ロック、カリプソ、といった様々なエッセンスをミックスしたものへと変貌していき、やがて彼独自のアフロビートの完成へと向かう訳だが、当時は彼の音楽はなかなか理解されなかったらしい。そのため、このファースト・アルバムもナイジェリアでの発売時、わずかに250枚しか売れず、そのストックがロンドンに送られ、スターン・ラジオ・レコード・ストア(現在のスターンズ)の店頭に置かれたものの、直ぐに引き上げられたという話もあるくらいだ。このようなことは、今ではとても考えられない。
このLPに収められた演奏を聞くと、当時のバンドは、Tp(x2)、Sax(x3?)、Dr、B、Perなどで編成されていたようだ(曲により異なっているかも知れない)。そしてその音楽は、特にジャズからの影響が色濃く感じられ、トランペットとサックスによるアンサンブルとソロ・インプロビゼーションが目立つ。もちろんフェラはまだトランペットを手にしていたはずであり、ドラムスはトニー・アレンが叩いていたに違いない。全体として演奏レベルはまずまず高いといえるのではないだろうか。特に、ドラムスとベースの音にしまりがあり、ホーンズのアンサンブルも小気味良い。ただし、サックス・ソロになった途端にずっこけることもあるが、、、。また、ほとんど曲でフェラの若々しいボーカルを聞くことができる。
ところで収録曲は本当に、63〜65年という短期間の録音なのだろうか。それにしては音楽的な変化が急激すぎるようにも感じられるのだが。A面の前半は完全にハイライフの世界であり、優雅なスタイルの演奏だったものが、次第にジャズ度が高まり、B面はもう冒頭からスピード感あふれるスリリングな演奏に変化している。フェラのボーカルもシャウトしだし、全体の印象は69年のLA録音("The '69 Los Angels Sessions")をもっとワイルドにした感じだ。
それにしてもフェラ・クティの最初期の録音がこうして聞けたなんて、全く奇跡だ。
各曲紹介などについては、また改めて。
(2000/01/25 Ver.1.0) (2000/04/03 Ver.1.1 修正)
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