夏休み、どこか山に登ろうということになり、最初は和佐又山を予定していたが、和佐又ヒュッテで駐車料金1000円を払い、登山届を出しながら、ヒュッテの方と話をした。 ![]() 「和佐又山に登りたいのですが?」 「うーん和佐又はすぐそこです」 「じゃあ大普賢往復は何時間くらいですか?」 「そうやね6時間くらいかな」 との一声で急きょ和佐又山から大普賢岳に変更した。 地図を見れば距離もさほどではない。何とかいけるだろうと歩き始めた。 大峰奥駆道のうち大普賢岳には、以前から登りたかったところである。 大普賢岳は奈良県の大峰山脈を形成する山の一つで、大峯奥駈道上にある。 大天井ヶ岳から八経ヶ岳へ至る山脈の中間あたりに位置し、南に国見岳、七曜岳、行者還岳と続く。 予備知識はそれくらいしかなかったが、以前、行者還岳に登ったときこの大普賢岳が見えており、早く登りたいと思っていたところである。 駐車場脇の登山口から登りだした。ちょうど11時30分であった。 途中キャンプ上の脇を抜ける。コンクリート舗装の車道に出る。少し不安があったので、下ってきた方に、「大普賢岳の道はこちらですか?」と聞くと、「はい、そうです。これを少し上がったところに山道があり、そこが登り口です。すぐわかります」と応えてくれた。 しかし健脚そうな人がもう降っているがこちらはこれから登るところである。少し不安を感じた。 ![]() 車道が行き止まりになったところで石碑が建っていた。 そして道はいよいよ普賢岳への登りとなる。 道はきれいで、周りのブナやナラの木々もきれいであった。歩き始めてしばらくすると休憩用の椅子があり少し休憩した。11時59分であった。案内板にはいくつものルートを示していた。 再び歩き始め、1時前になったので昼食にした。 今日は普段のおにぎりではなく、途中の道の駅で買った柿の葉寿司と巻きずしだった。時間がないのでコーヒーは湧かさなかった。 道は以前快適で、景色を見る余裕があった。すでに降ってきている人と数人に出会った。 一人で降りてきた私と同年代くらいの方に、「もう登ってきたのですか?」と聞くと、「そうです。朝4時30分に登りはじめて七曜岳も登ってそして折り返してきました。もうくたくたです」とのこと、こちらの出発の遅さが気になった。 その証拠にすれ違う人のほとんどが、声をかけたときに、腕時計を見ていた。 こちらが陽のあるうちに戻れるかどうかを、心配してくれているのである。 道は、笙ノ窟までは比較的なだらかで、特に危険を感じるような所はない。 いうまでもなく大普賢岳も修験道の山として修行の場であった。道筋の巨岩の下に修行の場がある。 最初は指弾ノ窟。次が朝日窟。そして一番立派な笙ノ窟。最後が鷲の窟。 それぞれが行をするのに適したくぼみがある。 窟群を過ぎたあたりから道は急に険しくなってくる。 大普賢岳は、標高が看板では1779.9m(1780m)場所は北緯34度13分40秒, 東経135度57分45秒である。 途中の和佐又山が1344m、日本岳が1550m、小普賢岳が1640mである。大普賢岳を大峰奥駆けに沿って、1655mの国見岳、1584mの七曜岳がある。そしてそのもっと先に、行者還岳1546.2mが続いている。 大峰奥駆道の主稜線上にある名峰である。 ガイドブックを見ると一般コースであるが、雨の時などはかなり危険な山でもある。 遠くから見ると、コブが階段上にくっきりと見え、大峰山脈の中でも独特の山容で登りたいという気にさせる姿のいい山である。だから一生懸命登った。しかし、しかし。道はきつかった。 大普賢岳は梯子だらけで、ガレ場もありスリリングである。ただし梯子を登る毎に、高度が上がり、上に上にと登っている感じがする。 山頂の展望は大峰山系を見渡せる上々の眺めであった。 大峰山の主峰、八経ヶ岳も見渡すことができ、大峰山系のすばらしさを実感できる。 それと共に、大峰奥駆道のすごさを感じる。 大峰奥駆道は、これらの山々を昇り降りしながら本宮まで行くのである。 ![]() 健脚の人でも1週間はかかる。気合いを入れなければとても歩き通せない。 そんな大普賢岳山頂へはちょうど4時に着いた。一般の速度からするとかなり遅い。 帰りは暗くなる可能性があるのでコーヒータイムは短めにした。 赤とんぼやクマバチ、そして蝶がたくさん飛んでいた。 クマバチの蜜を吸っているところを撮りたかったが崖の上に身を乗り出さなければならなかったので、足がぐらぐらするためあきらめた。 時間があればせめて赤とんぼのいいショットを狙いたかったが、明るいうちにどうしても越えておきたいところがあったのであきらめ、早めに降りを開始した。 何とか降りの難所を明るいうちにクリアし、シダンの窟を過ぎたときは7時に近かった。 夏で日が長いのでまだ明るかった。しかし次第にガスが濃くなり、山の夕暮れは一気にやってきた。 さっそくヘッドランプを点けて歩いた。道はなだらかで要所要所にテープが巻かれているので迷うことはなかった。 岩に足を引っかけ転ばないようにだけ気を付けながら降った。年を取るとちょっとしたところで躓く。 足がかなり身が入ってきていたので、石碑があるところに来たときはほっとした。 和佐又ヒュッテに到着したのはちょうど8時であった。 体力的に登れないだろうと思っていた山だが、時間はかかったが無事登り切った。
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