第1号 1997年5月8日発行

会報創刊の言葉
都市防災研究会の発足と活動
都市防災研究会代表  三浦 隆

     都市防災研究会の広報紙『都市防災研究会・NEWSLETTER』の創刊にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
     都市防災研究会は、3月22日(土)の第一回総会で、小林照夫事務局長が設立の経緯で説明しましたように、《横浜防災都市懇話会》を発展的に継承し設立した研究会です。横浜防災都市懇話会は元関東学院大学学長兼同大学工学部教授として日本の建築学界の第一線で活躍されていた故藤本一郎先生が畢生の事業として企画したものでしたが、藤本教授はその発会式兼第一回研究会(パネルディスカッション【大地震に備えよう・・横浜市民の知恵と団結】)の開催日に、その準備活動の疲労により急死されました。その日の研究発表会の成果は『都市防災研究会誌』(創刊号)に記録されています。その後、横浜防災都市懇話会の活動は中断されていましたが、藤本教授追悼の会合で、故人と為しかった三浦(桐蔭横浜大学教授)、小林照夫(関東学院大学教授)、石井啓之(関東学院大学技師)三村眞人(神奈川大学教授)の懇談のなかで、藤本先生の遺志を生かしたいということで、意見が一致し、再建協義を重ね、幾回かの準備会を経て、都市防災研究会として新発足することになりました。
     新発足の《都市防災研究会》は、3月22日(土)に神奈川県民サポートセンターで第一回総会が開かれ、会則、役員人事、活動計画等が議案として審議され、出席者一同の賛同を得て、正式にスタートすることになりました。今回発行することになった『都市防災研究会・NEWSLETTER』は、その第一回総会で小林事務局長が発案したもので、学術的な色彩の強い研究会誌ではなく、都市防災研究会の動向や会員が気楽に意見が述べられるような広報紙であることを目的としています。『都市防災研究会・NEWSLETTER』は大新聞やテレビ等のマスコミではなく、会員を対象としたミニコミです。ミニコミの利点を生かし特色のある広報紙にしたいと思います。会員皆さんの積極的なご投稿をお待ちしています。




自分たちの街は自分たちで守る
都市防災研究会幹事 大間知 倫
(防災研究家)

     「兵庫県南部地震」が発生してから満2年以上が経過しました。しかし、仮設住宅には未だ7万人近い方が生活されています。正常生活への復帰のメドが立たない方は、90%以上と伝えられております。「阪神大震災」は延々と続きいつ終わるかもわかりません。
     今年3月には伊豆群発地震、豊橋地方を震源とする地震、鹿児島県川内市・阿久根市付近て発生した地震では、震度5強が連続記録されました。
     すでに日本列島は、「地震活動期」に突入したことか、専門学者溝上恵予知連会長、『大地動乱の時代』の著者石橋克彦神戸大学教授、尾池和夫京都大学教授等により提唱されていることは、ご承知の通りてす。
     この度の震度5強の地震の連発は、地震活動期が一段高いステージに到達したという見解を、溝上先生が示されたという情報も伝えられてきました。
     戦後50年日本大地の動きは平穏に終始してきましたが、いよいよいつ私たちの周囲で「大地震」が発生しても不思ではない段階に入ってきたことを、よく認識して地震に立ち向かうようにしなければなりません。
     神奈川県でも県西部地震(70数年置き周期で発生)・東海地震直下型地震等の発生が懸念されています。
     時代は少子・高齢化社会に向かって進行しています。首都圏一都三県(東京・神奈川・千葉・埼王)は国土面積3.5%の所に、人口25.9%が集中するというアンバランスな地域となっています。
     幸いと言うべきか、最近発生している地震は首都圏を避けて発生していますが、いつ首都圏で本番が発生するかも知れません。
     そこで私たちはいまや待ったなしで、個人で出来ることは出来るだけ早く実行し、同時に近隣の協力体制についても、強固なシステムを早く作り上げることが必要です。
     例えば個人では家具の転倒防止、窓ガラス・食器棚・本棚等へのガラス飛散防止フィルムの貼付、救急セットの整備、消火水の確保、三日分の飲料水食糧等の確保等々。
     近隣関係では「災害弱者」に対する安否確認・救出体制・避難支援体制・食糧飲料水の供姶体制を確固たるものとし、同時多発火災に備えての初期消火訓練、救出された傷害者に対する人工呼吸、止血等の訓練を繰り返し実施して、身内や周囲から死者を出さないようにすることが必要です。
     以上平常時より準備しておくことが災害の被害軽減につながります。一刻も早く準備されますように。

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