風のささやき

12月の終わりの交差点で

また新しい朝だみんな何に耐えながら
唇をきつく一文字に結んで
この交差点を歩いて行くのだろう

ちかちかと点灯を始める青信号に
一斉に走り出す人の中に僕も混ざって
唇を噛んで重たい脚を引きずるように

何に僕は背中を押されているのだろう
息を切らせてまで何が僕を
焦らせているのだろう

赤信号になれば走り込んで来る車
それとも僕を責め立てる誰かの怒った顔
僕の後ろに続く人の足音に押されて

きっと僕の心を縛り付けている
見えないルールの手に首を絞められて
少し息苦しくなって鼓動も早くなって

人は何を心にこの交差点を渡るのだろう
こんな時間は早く過ぎ去れば良いと思いながら
足早にこの時から逃れようと足を速めるのだろうか

昨日の仕事の続きで頭が一杯で
直ぐにでもそれに手をつけたくて
考え過ぎて眠り足りない頭はまだ混乱をしていて

白い息を吐いてかじかむ手をポケットに
人は何に足掻きながら
真剣は面もちを崩さないのだろう

今日も空は冬晴れだ
凛として静かな青さだ
そこに人は近づけないのに

何故疲れた時に見上げる空に
みんなほっとして肩の荷を下ろすのだろう
そうしてまた俯いて歩きはじめることをして

赤信号になって車が走り出した
交差点の向こう岸に取り残されている信号待ちの列
またきっと信号が変わった途端に動き出して

みんな今年も色々とあったのだ
心に抱える物も一杯あって
けれど何一つ結論めいたものも出なくて

だからきっと唇を一文字に
続いて行く生活を
額に重く感じながら歩いているのだ

それとも
寒い寒い12月の暮れだからかな

← 詩の一覧に戻る