風のささやき

心の底の青空に

君の心の奥底には
僕の目測では推し量ることのできない
どこまで果てしない青空が広がっているようだ

君に触れた人をすべてすっぽりと飲みこんで
なお余りある広大無辺の広がりに
君に抱かれた人の面影はシャボン玉に丸めこまれて
軽く目を閉じた微笑みがその球体の虹色に映える
陽ざしはスカートから覗く少女のすらりと伸びた足のように
そんな球形の上で軽くスキップを踏むことを楽しんで止めない
青空の底にある君を勇気づける太陽の
穏やかなまなざしから送られて君を胸の底から温める

風は君の心に沸き立つちっぽけな汚れを消し飛ばしてしまう
青空はいつでも奥行きの深い青色をたたえたままだ
その風には例えばタンポポの綿毛も乗って
空の奥には春の黄色い花畑
菜の花や黄色のお喋り水仙も沢山で賑やかで

胸の内にそんな温もりを宿しているから
君の眼差しは春を感じさせる麗らかさで
その瞳の中に人は通りすがりの春雨の暖かさに
木の芽のように潤うのだ

時折はその広い空を漆黒の雲が覆う日があるかも知れない
怒り収まらない雷鳴が激しくしつこく
咎人を責め立てるように耳元を騒がしくさせて
冷たい雨は青い血を流すように
君の力を奪い心は衰弱をして
ただ横たわり永続する痛みに耐える日があるかも知れない

太陽が顔を隠し死に絶えたと思い
温もりが君の胸からすっかりと失われてしまったと思われても
信じていて欲しい
君の心の中には広がり続ける青空があることを
微笑みながら君を勇気づける太陽があることを

素直で明るい心はすべてを受け入れる大きな器
君はまだその自分の大きさに気が付いていないのだろう
ただ有り余る体の力でこんな狭い雑草だらけの道にさえ
力いっぱい僕を置き去りにするように走っていくだけだ
君は一体何処まで走っていけるのだろう
心の奥底にその広い青空をたたえて

さっきまで降っていた小雨が止んで
虹が出ていると君が言った
確かに君の指さす方の住宅街から虹が空に昇っていた

僕の手からカメラを奪うようにして
君はその虹を写真に収めた
それ以上に僕には
君の心の青空を渡る
虹がしっかりと見えているのだが

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