川は滔々と流れ桜の花びらに潤い
川べりはあなたと腰かける柔らかな春の緑
今日を座ってあなたと一日を過ごす大地の温もりに
会話はあってもなくても微笑むあなたの様子
嬉しそうで僕の心は一息をついて落ち着いた幸い
一日は暮れやすくあなたといれば直ぐに
時計はその秒針を急ぎ進めるようで
あなたの後ろには忙しく車が通る橋があって
その車の音は遠く街の騒音も川の音色だけに包まれて
橋の向こうに沈む夕日は蝋燭の炎のように温かい
あなたの顔は黄昏の逆光の影になって
あなたが夜に飲み込まれてしまわないかの少しの不安を覚えて
赤い花飾りを頂いたあなたの長い髪
あなたにはずっと微笑んでいて欲しい
人の世には叶わずに許されない夢だとは
知っていても願わずにはいられない心があることを
人は自分勝手だ僕も大概は自分勝手で
どれだけあなたに愛しさを募らせれば済むのだろう
愛しさは一人の人と向き合い学ぶ日々の経験から
幾つもの本の教えは確かにその通りのことで
けれど一人一人の日々にそれを学び取らなければいけないこと
自分の物にしなければいけないこと
僕は毎日教えられていることを
少しはにかんだ微笑みのあなたにありがとうを
愛しさはどこから湧いてくるのだろう
春の風のように自然にあなたへと向かって
またむせかえり戻るカサブランカの麗しい香りのような温かさ
長い僕の学びはいつかしらあなたに愛しさを感じられるように
言葉が伝えきることのできない思いを
僕は指先に込めてあなたの髪に触れる
春風の代わりそっとその髪を撫でる
もうそろそろ帰ろうか川の流れに沿って
少し風も肌寒く感じられるようになってきた
大地もまだ春を十分に吸い込んでいないのだろう冷たい
手をつないで自転車に追い越されても僕らは僕らの速度で
疲れた足のあなたを背負うほどの力はないかも知れないけれど
あなたがまた歩き出せる時を一緒に待つことはできる
空のことを語りながら風のことを感じながら
川の流れと一緒に歌ったりしながら
歩いて行く先のその先の
いつかまたあなたと会えますか
あなたと出会うべくして会ったことを信じていたい