風のささやき

晩秋の川の流れに

子供たちが夢中で
川に向かって石を投げている午後の3時
どこまで自分は飛ばせるだろうって
丸い石 平たい石 尖った石と
手に取って重さを確かめながら
自分にちょうどいい物か見定めながら

川原の石は子供たちの手で川の中に沈み
水しぶきのその後にはまた
何事もなかったかのように流れる川がある
遠くから流れてきて僕を過ぎて下流の方へと
留まることを知らない川の流れがある
岩を乗り越え飲み込むように
堰に溢れて流れを変えて
白く泡立ちながら陽光に混ざりあい
子供たちの手から飛来する石つぶてを飲み下しながら
古びた晩秋の陽ざしに照らされて蜜柑の色をして
一心に流れて行く川がある

子供たちが魚を見つけたと
川の中に乱暴に入っていく
バシャバシャとズンズンと
その足を川はさらおうとして流れる
転んだらそのまま体まで捕まえようとする
指先を僕は川に浸して
確かに流れて行く抵抗を感じる

変わらずに目の前にあるような流れ
そこにあるようですべが一瞬一瞬に移り変わる
ほらその証拠に秋の陽ざしが掴みどころなく水面を転げているよ

その有様は僕らの生にあまりにも似ている
一つの所に留まっているようで
留まっていると思いたくて
陽ざしを身に一杯に纏いたくて
それを受け続け変わらない水面があることを思って
けれどその身は変わることをやめない
流れて行くことをやめない

流れ縁取る薄は
見飽きてしまった空に放心をして
こんなはずではなかったと頭を揺らしている
まるで牢獄から空を眺める
囚人の上目遣いのように

移り変わる流れはただ移り変わる流れのままに
それを受け入れ
ただ流れることに専心をする
流れ流れるせせらぎの歌に心を込めている

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