風のささやき

夢に

今日の夢の続きをまた明日の眠りの中に見ているのかしら
夢みていたい一つの夢は生の上に漂ってやまないのかしら
できることならば楽しい夢を眠りの合間に見ていたい
苦しい出来事も悲しみも包み込んでしまう
優しい癒しが夢の中にあることを信じて眠りたい

今日の目覚めは一つの夢の終わり
あなたと出会った楽しい夢の終わりは一つの寂しさ
何かから逃げ続けて息を切らした夢の終わりは一つの救い
暫くは僕に漂う夢の余韻を体に感じながら
また今日の生に向かうために心を奮い立たせている

生きられなかった生を生きてみる夢の中に
数々の諦めてきたそうであったかも知れない僕を
味わっているそうして今の僕をそのままに
肯えるように夢を見る時々は去った人の背中を見送り
漸くありがとうを伝えて伝えきれなかったその言葉を

夢が独りよがりの場所だとしても
夢は目覚めている合間の平衡を失った心を整えてくれる
一人一人に与えられた安らぎの場所として
今日も等しく夜を眠る人に届けられる
人はせめてそこで許されて明日を生きる力を蓄えて

温かな気分だけが胸に残っていた
誰かの腕に包まれていた僕は安心して
その人の柔らかい胸に眠った
僕が抱きしめられていたのは母の胸
あるいは僕に優しい恋人の白い胸

今日の夢の終わりは明日の夢の入口となって
願わくはその夢が楽しくも僕の生を
気高い場所へと導いてくれるように
夢を一生懸命に生きる僕であることを
謎深まるばかりの生を眠りながらも生きつくす僕であることを

← 詩の一覧に戻る