風のささやき

秋の空に

隣を歩くあなたが溜息をつくように
秋の空の深い色合いが印象的であることを伝えた

僕も一人で空を見上げていた時に
確かにそう感じていたことをあなたに告げる

二人の上にある空をまったく同じ色で見ているのか
それはきっといつまでも誰にも分からない

ただ同じ印象を胸に抱いていたことが嬉しく思えて
その後は言葉少なく二人で歩いていた

時々は空を見上げながら
深い色だねとお互いの目に映る空を確認しながら

秋の風が爽やかに街を浚っている
人々は風の申し子でその時々の色合いにすっかりと染まり

陽ざしはいつからこんなにもしんみりと
金木犀の香りを漂わせているのだろう

交差点はすれ違う人で一杯だ
俯いて目も合わさない人たちだあなた以外は

人は何故に誰かと思いを分かち合えた時に
心が嬉しく震えるのだろう

それが例えば何気ない空の色合いだとしても
ああ良かったと思えるのだろう

それを分かち合ってくれるあなたがいることに
素直にありがとうと伝えたいのに言えない恥じらいのもどかしさ

言葉はとても頼りない物だよね
自分の口から出る言葉にも責任を持てないことが多くて

けれどその頼りない言葉を頼りにして
毎日を過ごしている誤解を繰り返し怒りを覚えながらも

それでもこんな風に言葉を伝え合うことで
急に近くに心を感じることもあって

秋が澄み渡るように僕の言葉も玲瓏なれ
深くあなたに染みわたるように

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