風のささやき

また明日

夕暮れの中に歩き去っていく
あなたに大きく手を振った
「また明日」
心の中で呟きながら
何度も振り向くその姿が見えなくなるまで

秋の風が少し涼しいくらい
心が寂しくなった
さっきまでが楽しすぎたから
急に一人で歩いていること
不思議なくらいで

僕は俯いて僕の道を帰る
今日の何気ない会話
取りこぼさないように
あなたの笑顔を
飽きずに繰り返し思い出す

また明日が会える日となれ月見草
いつかその家路の先が
僕のいる場所となれ鳳仙花
あなたのいる場所にはいつでも
花の香りがするようにと白粉花
植えれば子供たちが
落下傘を作って遊ぶ
賑やかな声がきっと絶えない
楽しい家の軒先に
弦を伸ばして高い所で
咲いている大ぶりな紫の朝顔
僕は鬼灯の実を手に取って
手のひらの上にいつまでも転がし
それを可笑しそうに見守るあなたを
秋桜の沢山の花影の中に見つけだした
目が合えばはにかんだようにあなたは笑った
桔梗の可憐よりも
金木犀の甘さよりも
僕の胸をしっとりと甘く濡らして
また明日が会える日となれ川原撫子

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