「パパは100歳まで生きるよ。不死身だから。
ママもそれからじいちゃんも、ばあちゃんも。
ひいおばあちゃんは運が悪くて死んだんだ」
君は皆が大好きなんだね
そうして僕のことも好きでいてくれるんだ
みんなと一緒の時間が楽しくて
ずっとずっと一緒にいたいと思っているんだ
僕は君から見たら
不死身と思えるほどに強くみえるかい
ほんとうははりぼての体
細い心で支えていることは君には言えない
君が不死身と言ってくれるのなら
君の前では不死身を装いたいと思う
どこかメッキがはげて
なんだこんなものかと君が思う時には
君はもうずいぶんと世の中の図り事も
苦さも分かっているのかも知れない
いつまでも一緒にいれれば良いね
けれどそれはかなわないことと
僕は誰に教わったのだろう
誰が教えてくれたのだろう
本当は知りたくもなかった知識を
君の望みが叶えられないことを知っている
僕のことを不死身と言う君の言葉が
心に切なくそれでいて温かく
ただ君が一人で楽しそうに話す
言葉にうなずいていた
君が僕の耳たぶを触る
昔からの癖だね
悪い夢を見なくなるお守りだと君は言う
そんなことで悪い夢を見なくなるのであれば
いつまでも触っていれば良い
僕が君にできることは
本当にわずかばかりで申し訳がない
いつの間にか話すこともやめて
健やかな寝息を立てている
君の頭を一つ二つと撫でていた