風のささやき

幸せと名付けて

幸せは 名を与えること
身のまわりのたくさんの
何気ない出来事の一つひとつに
幸せの名前を そっと貼ろう

いつからか幸せは
手の届かないもの
身を焼くほどの幸せが
どこかにあると思えば
あれも不幸 これも不幸になる

子供のように欲しがり
手を伸ばす虚空に
爪先立ちの足場も失って
闇に飲みこまれてしまう

幸せの指先で名付ければ
魔法をほどかれ 鮮やかな色が
目にあふれだすのに

最初はおずおずとでいい
素直になれない頑なさが
邪魔をするけれど

桜色の便箋に
丁寧に文字をしたためて
切手を貼る そのときめきを

夏の砂浜に足裏を焼かれ
一目散に
青い海を目指す楽しさを

あなたの髪に落ちた
黄金色の銀杏に
触れる恥じらいを

温かな子供たちに
挟まれて眠る
冬の夜のぬくもりを

朝の陽ざしの眩しさを
昼の空の長閑な雲を
涙に濡れるような夕日
夜の一人を護る静けさを

昨日のカスミソウの可憐
手をつないだ今日の嬉しさを
明日 初めて耳にする言の葉
遥かな未来へと 願いをこめて

そのすべてを 幸せと名付け
自分の胸に大切に拾い上げる

幸せは選ばない
日々の豊かさと語り合えたなら

幸せは素直
素直に喜べる心のありかた
喜びを分かち 惜しまない
諦めることのない
あたたかな気持ち
    

こころの持ち方がきっと大切。幸せは自分次第で。Last updated 2025/11

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