あなたは何処にいるの
どんな思いで何を見ているの
見上げたビルの群れ
のしかかるような重苦しさ
つぶてのような人の押し寄せる街角で
心塞がれてはいない
一人で歩く海
潮風は心をかき乱すには十分で
足を洗う波はガラスの破片を含み
砂浜は足の裏を焼くようで
体は火照っているのに
目覚められない
ドロドロとした夢に囚われて
そのまま燃え尽きてしまうようで
あなたの真っ直ぐな言葉は
時々は自分を刺して
その傷口にも真っ直ぐなあなただから
苦しむことが止まないで
食べ散らかした西瓜
種がまだ濡れて黒い畳
蝿はただ煩いだけなのに
もうそれを追い散らかす力も無くて
子供の頃に見ていた夢の弔いに
風鈴が一つ二つとなっている
夕暮れの時間
赤く燃え立つ時間を
殊更に体から燃え立たせる後悔に
染まるあなたではないか
あなたの髪の手触り肩の感触
目を閉じて手繰り寄せて
思い出そうとして
洗濯物はもう乾いた頃だろうに
ベランダの鉢植えもからからに喉を乾かしている
僕もここに一人だ
あなたは何処かで
寂しくしていないだろうか
その背に触れて押してくれる
風があることをと
窓からの涼しい初夏の風
肌に触れるたびに
僕を呼ぶあなたのことを思う