空色の鞄
あなたが肩にかけた空色の鞄は 沢山の入れ物に膨らんで 入りきらないその口からは顔を覗かせた数冊の本 そこに詰められている物は きっと沢山の笑い声 あなたの心をくすぐった沢山の話しと共に 取り出せばいつでも思い出して微笑むことができる それからあなたの頬を濡らした 少しの涙と寂しみとその辛い夜の思い出と それはあなたを育んでくれる恵みでもあって 空を虹色の橋が走るかも知れない その輪を潜った白い鳥の羽が七色に染まった その落ちてきた羽根を本の栞に忍び込ませて 本にも出会いはある あなたを励ましてくれる言葉も 道しるべ与えてくれる気づきも あなたを豊かにしてくれる知識も あなたの歩みと共に空色の鞄に詰め込んで タンポポの綿毛が空色の鞄に 忍び込むこともあるかも知れない すくすくと育った黄色の花は あなたの鞄から顔をのぞかせて また綿毛を青空に飛ばして 空色の鞄の膨らみは あなたの蓄えてきた生の豊かさで その中に詰め込まれた物を いつでも自由に取り出して あなたはその先の生を渡るのだと できればその底にはいつまでも 僕の大好きなあなたの 優しい心持を忘れずに忍ばせ歩いて欲しいと