あなたの胸には
すべてが入る深い空色の鞄
たくさんの想いに膨らんで
あなたが口ずさむ歌もこぼれる
友と一緒に旅に出たときめき
明日への憧れは心をくすぐり
お祝いの誕生日の歌声
取り出せばまた微笑むことができる
沢山の笑顔を入れて
それから頬を濡らした
わずかな後悔の涙
一人たたずむ海辺の寂しさ
眠れぬ夜の苦しさは
心を育てる恵みともなる
雨上がりの空には虹の橋
くぐった鳥も七色にそまり
落ちてきたその羽根を一枚
大好きな本に栞とはさんで
開かれる頁には
励ましの言葉がある
道標となる気づき
あなたを豊かにする
たくさんの智慧に満ちている
旅路の供に丁寧に読みといて
疲れたらまた鞄にしのばせる
鞄にはあどけない
蒲公英の綿毛がひらり
舞い降りるかも知れない
すくすくと命を育み
やがて黄色の花を咲かせ
また軽やかな綿毛を青空に返す
空色の鞄はゆっくりと膨らんで
その丸みは重ねた日々の豊かさの証
あなただけの大切な持ち物
いつでも心のままに思いを取り出して
あなたはその先の空を描くのだ
あなたの深い空色の鞄
その底にはいつまでも
大好きなあなたの優しい心を
御守りのように
忘れずにしのばせて欲しい