風のささやき

草原の目覚め

山霧を集めた黄色い花の花弁
おずおずと舐めてみた酸っぱさ
舌の上に感じる目覚めの予感
手足に絡みつく朝顔の弦が
上に空にと体を押し上げていく
山の草原からさらに高く上る高天原
羽毛のように軽くなる体は
赤子のまどろみまだ夢の羊水に漂い
自分の体であることの喜びの伸びをする

眼の中に輝きだした宝珠の束が
眩くなるばかりの澄み渡る目を
青空の中にゆっくりと洗う
滲んでいたものが姿を現す
全てが翼をはやしてそれ自身が
何色か神々しく輝いている
虹の向こうに渡る物もいて
その憧れの姿を目の奥に焼き付ける
生きていく追いかけるべき軌跡として

一斉に吹きならすラッパの号令
力が伝わってくる手足の指先
一つ一つの指が自分を自覚して
掴もうとする白い雲の柔らかい肌の上
山葡萄の汁でこの体に描き上げる模様
胸には甘酸っぱい物を
いつまでも感じていたいから

胸の中に流れ込んできた
澄んでいる高原の大気
そこに目覚めた時の一瞬の寂しさ
普段とは違うベット白いシーツ
夢から覚めてしまうこと
また今日は都会の喧騒の中に帰る