風のささやき

初夏の朝に

初夏の空まぶしくて
滲み出すものあり汗と涙と

いつからこんなにも
眩しい空は僕から遠ざかっていたのか
気づいてはいたのに気づこうとはしなかった
怠慢な日々はもう戻ってはこない

その頃の自分笑顔一つさえも
腹立たしく思い出されて
血潮が沸き立つように体が熱くなる
恥ずべき後悔は何処に吐き捨てればいい

何かは確かにしていた
徒労のためだけに心砕いたと分かった努力
無能な自分見出すためだけの幾つもの回り道
今さらに袋小路の中で昔日の自分の呪詛を受けている

もう皆いなくなってしまった
懐かしい人たちも僕のものではないそれぞれの
生活を背負って耳元に急き立てられているから
誰にも知られないその恥じらいは僕だけの秘め事だとしても

沸き立つ雲の繭のような眩しさにも
木陰に紛れる青空のジグソーパズルの断片にも
学生の洗い立ての白いシャツの襟もとにも
過敏症の瞳には受け入れるにはまばゆすぎて痛んで

初夏の空まぶしくて
見たくもなくて目を伏せて
背負う日差しに滲み出す汗と
与えられた時間を無駄に生きる科人の涙と