風のささやき

絆創膏

痛いところは隠したいよな
見ていたくはないよな
それでいて
ずっと気になって
四六時中チクチク痛むから
笑顔もちょっと強張ったりして

早くその傷を塞ぎたいよな
自分にしか分からないその痛み
じくじくと血も滲み
同情の言葉を聞いても
ずきずきが消えることもなし

その傷口はどこまで大きくなるの
その痛みはいつか止むことがあるの
ちっとも分からないから怖い
だから傷口を癒す
絆創膏を誰かに貼って欲しい

一時の気休めだとは知っている
痛みがなくなることなんてなくて
痛みはときとして心を強くする

けれど誰かが
手を添えて貼る絆創膏
そこには僅かに体温も残り
その温かさに痛みは少し和らぐ
ありがとう

それは笑顔のお裾分け
あるいは赤子のミルクの香りであったり
愚痴にしっかりと頷いてくれた
軽い冗談を言い合ってくれた
手作りの料理への褒め言葉 美味しいと
心が軽くなって読み続けた小説
春の午後の陽射し
気持ちの良い風と
新緑の手をふる欅

終わり無き傷口と絆創膏の競争に
人の優しさを知る
そうして自分なりに
傷口にあう絆創膏を探す
自分の傷口に絆創膏をあて眠る

ありがとう
あなたが痛んでいたらその傷口に
絆創膏をあててあげたい
温もりをこめて
いたる所に援軍はいることも
耳元に囁いてあげたい