風のささやき

胸の棘

あの時の言葉まだ後悔している
もう何年も前のこと
まだ抜けないままの胸の棘

一人眠れないでいる夜には
痛みだすそれは
あなたの面影に刺さる鋭い針

幾晩も幾晩も
僕の思いはそこを巡った
数多の星が夜空に散らばって
青白く寂しく光っている
その隙間の埋まらない憶光年
以上に離れてしまった
距離を埋めるような言葉を
今でも探している

見つかることは無い
パズルの失われたピース
思い描く一人遊び

もうその言葉への
答えをくれることの無い人の
表情を探す暗闇を溜息で満たし

僕は諦めが悪すぎるのか
もう過ぎた事
もういない人のための言葉
胸に産み出そうとしているなんて

僕の言葉に力の無いこと
いつでも僕は後悔している
言えなかった言葉を
幾度も口に反芻をして
僕の心の輪郭を擦ろうと
いつでも姿を変える
不確かな心のきしみ
そんな美味しくない物を
しょっぱい涙と口にして
やがて一塊の僕の言葉が
僕の口の中に結晶せんことを