風のささやき

サイレン

サイレンが鳴っている
この世のどこかで終わりが来たのだ
破たんする一つの日常
断末魔の叫び

それを告げるサイレンに
けれど人は鈍感だ
自分に降りかかることのない
他人の出来事だから

今もサイレンが高らかに告げる
哀しい出来ごとの始まり
その曲がり角のあたりでも
涙の匂いがする

あちらこちらで聞こえるサイレンの音
それは街の作り笑いにかき消される
誰も聞こうとしない か細い悲鳴だ