風のささやき

雪の物語

くり返しくり返す雪は
終わらない静かな語り口のように
夜通し続く果ての無い物語

健やかな眠りにつくがいいと
相見えることも終ぞ無い
それは遠い祖先の囁き
真っ白な山にも畑にも満ちて

言葉にならないその声を耳に
いつの間にか僕も眠りに落ちていた
子供に読んでいた本に顔を埋め
どこか懐かしい気持ちで一杯で

一人だけ起きていた
寒い風の子供が山から下りてきて
勢い雪囲いにぶつかった
その振動で屋根から滑る
重たい雪の音に目を覚ます

少しうなされた子供はそれでも
直ぐに夢の中に戻って行き笑った
今日も沢山遊んだね
お昼に作った雪だるまも
明日の朝にはもう新しい雪の下だね

布団から半分体を出していた
僕は子供を戻し布団をかけ直す
点けっ放しの枕元の灯りを消して
今度は僕が目を瞑り聞く番だ
静かな語り口の物語に
耳を澄ませて