冬の満月に
冬の大きな丸い月を 子供が見ていた 兎が一生懸命に餅を ついているのを見たという その兎の吐く息で この夜はこんなにも寒いのか 納得もゆく 子供は口を開けて 餅が落ちてこないかと見ていたが やがて飽きて布団の中で ぬくぬくとしている 冴え冴えと 青白い月の光 明日は霜柱も立つだろう 子供の見た月の兎は 夜通し餅を搗くのだろうか きっと働き過ぎだ 少し休めばいいのに 真面目すぎるのも体に毒だ カーテンを閉める前に おこぼれの餅を もう一度確認する 固くなった冷たい餅ならば 温め直さなければいけないな