風のささやき

黒い川

黒い夜の川にはコールタールの
粘着質な情念が流れ
黒い夜の川には街灯の明かり
その輝きを失くす

黒い夜の川に流れ込むのは
淀んだ言葉ばかり
物いえず口ごもる
後悔の念は後戻りを繰り返す
淀みの渦を作り

黒い川は足掻く物の
心の捨て場所のように
手足もがれた人形や
握りつぶされた空き缶
光り失った月の面影と
一緒に流れていく

暗い夜の川は自分の心にも
続くもののように
ページを閉じて
ペンを置いた日記から
どす黒い言葉が流れてくる

胸苦しく夢の中にも流れ込んできて
黒い川は自分への
あざけりの声に満ちている