風のささやき

タイプミスの僕

無数の無責任な指は
嘲笑うように
キーボードをたたく
間違えだらけの文字が
容赦なく心に刻まれる

うち損じだらけ
沢山のインクが重なって
真っ黒になる 拭いきれない
タイプミスの僕

微塵の悪意もない無邪気さで
さも自信ありげに間違える
軽はずみな言葉に心は埋もれ
毎日は息苦しい暮し

浮かび上がることもない
僕の言葉は押し殺される
休みなく動く指先に上書きされて
心の姿さえ 見えなくなってしまう
タイプミスの僕