風のささやき

がらくた

布団の中は一人の苦しい世界だ
街は仮初の眠りについて静けさを増し
冬の空気は冷たさを増して
望まない添い寝をしようと
開かれた隙間から押し入ってくる

眠れない頭は悪い方へと冴えてゆくばかりで
明日への暗い思いにかき乱されて
締め付けられる胸が苦しい

陰惨な想像が浮かび上がるたび
鷲掴みにされる心臓が
必要以上の血を吐き出して
その度に体は
陸に上がった魚のようにビクリと跳ね上がる

目の奥には痛めつけられた映像が
ジンジンと熱を持って蘇る
ほらお前はこんなにも無駄な人間なんだと
繰り返し見せつけられる映像は
僕を駄目にするための洗脳

耳の奥にはまた
言い争いの声が聞こえる
いつの間にか僕の中に
入り込んでしまった
たくさんの人の終わり無き水掛け論
正当性を主張するもっともらしい声を
僕はもう食べ飽きてしまっているから
耳を塞いで辟易としているのだが

騒がしい音楽よりも耳障りに
僕は夜通しその声にまた
耳を傾けて
目を血走らせることになるのだが

それでも朝は訪れる
こんな騒がしく眠れない夜は
もううんざりで

僕はいつから
こんな壊れた部品の
寄せ集めになってしまったのだろう
その部品を取り替えることも出来ないで