風のささやき

秋の祭壇

秋の陽射しは
悔恨のステンドグラスに色づけられて
すべてを諦めきった面持ちで
僕の部屋の窓辺に注ぎ込んだ
いつしか僕の番が
来ることが分かりきっていた順番
残酷なそれでいて公平な

僕の机は人知れない祭壇
懺悔の言葉を促されて
開かれたノートの上には書きかけの言葉
取りとめもなく
投げ出された鉛筆と
見慣れたパステル画の花の絵の染み

その秋の日を虫眼鏡で集めてみても
浮かび上がるもののない
心は寒いばかりで

うつむく眼鏡のレンズの上に
僕は幾粒もの涙をこぼそう
それは濁った水溜りとなって
焦点をぼやかせるばかり

僕の告白は
拙く
か細い
秋の風は寂しい

こんなにも貧弱な言葉だけが
僕の連れ合いだったなんて

長く歩いてきたはずの
振り返れば足跡は消えている
確かに残してきたと
思っていたはずの幻想が面映い

僕は何をひけらかそう
何もない
何も
何も・・・・・

せめて黄色の落ち葉と
赤い落ち葉とを捜して
それを僕の貧しい
懺悔の祭壇に飾り

もう僕の力では
何もできないことを悟る
秋の陽射しの中
僕の懺悔はやがて祈りへと変わり

祈り?
僕の生を
肯定したいがための
愚鈍な願いではないのか

僕は卑怯か

僕は卑怯だ
人並みほどには

寄る辺ない僕は
落ち葉ほど

頭の中で
空虚な言葉が回り続ける