風のささやき

面影に

真剣な眼差しの横顔に
青臭い季節の風が吹く
ぐっと歯を噛み締めて
それを味わいたい

   ○

おしろい花のように飾らない
素朴な笑顔にほっとする
いつまでもそこに咲いていて欲しい
寂しさ味わう夕暮れのとき
そこにまた足を向ける

   ○

働き者の指先は休まない
細い指先が言葉以上に饒舌だ

指の節々が協力をして
橙色の毛糸がどんどんと少なくなる
君の織りなすマフラー

熱心に思いを寄せる
その人になりたい

   ○

台風の日にも
そこにいてくれたことの有り難う
横殴りの雨に少し頬を打たれて
濡れた半分は涙だった

   ○

下を向くと
上を向けよと引っ張り上げる
あなたは引力
力の源

   ○

どんな風に
あなたは溜息をつくのだろう

頭に落ちてくる
夜の落下傘

寂しくなっていないかな
その顔が恋しい