風のささやき

黒い炎

太陽の汚れの僕の影が
また地面へと曝されて行く
指をさされた存在の
叱責を受けた羞恥心で一杯の
その赤い顔の色合いを写し取ることもなく

べったりと地面に張り付いて
僕の嗚咽の涙にも濡れることはない
歯ぎしりの激しさに白い歯を見せることも無い
黒いのっぺらぼうの

何度でも拭き消そうとはしたよ
そんなみじめな僕の影を
自分の手には負えないことと
わかってはいても

太陽が頭上に燃え上がる
それと一緒に黒い影は黒い炎で燃え上がり
焦げた臭いをたてる

僕の骨は諦めの悪い木炭のようだ
いつまでも燃えきらずに燻っている
真っ黒な灰ばかりを撒き散らす

黒い炎に燃え上がる
それは僕の内面に燃える火種があるからだ
煤けたものが熱風に舞いあがり
流されて行く大気に漂う汚染物質

それは人にどんな害をなすものなのか
燃え盛る太陽の下でも鳥肌を感じる
ぬぐえない恐怖心
取りとめのない絵空事

僕はどうすれば未練無く
白い灰に焼き尽くされることができるのだろうか
その時には願わくば
僕の影も消されてしまえ

僕はまた僕の影の中を覗き込む
いつの間にかそこに迷い込んだ毛虫一匹を眺めながら
生きることは人の世で生きること
その底無しの答えの無さに身動きが取れなくなって
強張った影を地面に貼り付けながら