風のささやき

ブナの林で

黄葉のブナは
風のパッチワーク
充分な陽射しに潤う
その布地

どんな器用な手が
繊細な針で繕い
縫い合わせた葉っぱだろう
ところどころの綻びも
洒落た風合いで

青空が嫉妬する
こんなにも晴れて
雲をはらい
雪の山頂も見える
それなのに主役を
すっかりと奪われてしまい

いつ以来だろう
こんなにも明るく澄んだ目は
黄金色にあふれて
戸惑いを隠しきれないのは