風のささやき

力を合わせて 蟻が 
黄金虫の亡骸を 持ち上げる
どんな号令で 一矢乱れず
あるいは 念仏を唱え

風の 後押しも受けて
運んでゆく
人知れぬ 野辺の葬送

あんなにも軽々と
死を 扱うことができるのなら
どんなにか 心も軽くなる

難しく まだまだ 
持ち上がらない 重い心だ