風のささやき

弱った心

弱った心は
小さな雨粒にさえも
痛みを感じる

しくしくと泣いている
小さな子供よりも心細い

自分だけが世界に一人
取り残されている

一生懸命に
生きているつもりなのに
誰からも見放されて

臆病な目をした弱った心は
野良猫のように誰も信じない
自分に向ってくるすべてから
一目散に逃げる準備をする

気持ち良く晴れた青空に
この世から綺麗さっぱりと
消えてしまいたいと
思う弱った心

誰の記憶からも
跡形も無く消し飛んでしまえば
どんなにか楽になれるだろうと

どうせ初めから
自分のことなんか
誰も相手にはしていない

弱った心には
毎日が薄暗い雨模様
差す傘もなくて
雨宿りの場所もなくて
不甲斐なくて
悔しくて

けれどふとした瞬間に
ほんとうに
何気ないふとした瞬間に

見捨てられた生が
しみじみと
弱った心に手を当てて
温もりをくれるのだ
弱った心にしか分からない
かすかなささやきで

がなり立てる
強い心にはきっと
耳にも入らないその静けさで

弱った心は
やすりを当てられたように
ひりひりとして
いつの間にか磨かれた
水晶のようだ

太陽がそこに映える場所
だから弱った心は
弱った心のまま
我慢強くあればいい

弱った心には手を触れて
大切なことを伝えようとするものが
いつも直ぐ側まで来ているのだから