風のささやき

野良猫の後を追って

気取った野良猫が歩いてゆく
しっぽを左右に振り
軽いスキップを踏んで

楽しい場所に行くのだろう
仲間がきっと待つのだろう
ニャーニャーと迎えられて

その三毛模様を追いかけたいな
行く先々で新しい何かが
見えるような気がする

垣根をくぐり
縁側のある庭に野の花を眺め
壊れかけた電灯を心細く見上げ
塀の上から眺める人の群れは
ちょっとユーモラスな黒い波

毎日が同じに見える
僕の目線もきっと自由に
違うところに注がれるようになる

けれどしがらみに縛られて
大きな体をして
野良猫の自由な足並みには
ついていけないな

今も次の約束に縛られている
まだ来ないバスに気が急いて
イライラとしている
軽やかに歩く野良猫の姿を
羨ましげに見送るばかりだ

遠ざかる三毛模様の背中
僕も軽いステップで
追いかけて行きたいな