風のささやき

君が走っている

君が走っている
夕陽の照らすアスファルトの道を
首の白いタオルが
走りに合せて羽ばたくようだ

君が走っている
赤い車が追い越していく
排気ガスを吹き付けて
けれど自分のペースに焦ることなく

君の足は楽しく軋みをあげる
力を込めればやがて
重力からも開放されると信じ

吐く息は熱い
軽く握られたこぶし
失わない一定のリズム
汗は夕陽を映して惜しみなく流れ

君に手を伸ばす新緑の柳も
追いかける赤い風も
気にせずに地面を蹴って
君はスピードを上げて

眼差しはどこまでも真っ直ぐに
君がたどり着く場所に注がれる
届くことを信じて疑わない
胸の思いが熱く急がせる

道は長く真っすぐに続き
その先は夕陽に溶けている
君の力強い足は
君をその先にまで運んでくれる

君が走っている
疲れを知らず力強く
熱い息を吐きながら