風のささやき

冬の公園で

色とりどりの枯葉で埋められた冬の公園
どんな複雑に編み上げたペルシャ絨毯でも
この色合いは出せないだろうと
勿体無くて足の踏み場に困っている僕を
駈足の子供が拙い足取りで追い越して行く

惜しげない雨が降るように落ちる枯葉
冷たい風が吹く度に舞い上がり
風が収まるとまた地面に自分の居場所を見つけ
その度ごとに変わる模様に
太陽がニスとなり光沢を与えている

枯葉はまるで冷えてゆく大地を
暖めようとするとする
たくさんの子供たちの手のようにも見える
可愛らしい健気な手はいつまでこの公園に
留まることが許されているのだろう

人知れぬどこかの山の斜面であれば
枯葉はやがて腐葉土となり
山を豊かに変えて行くのに
都会では無用なゴミとして捨てられるだけで

隙間だらけになってしまった梢の間を
冬の冴えた空が埋めている
過ぎ去った一年がポッカリと開けた穴を
風が狙ったように吹き抜ける

フルフルとまだ残っている葉が小刻みに揺れる
僕の心もそれに合わせて
ささやかな後悔に震えている
枯葉よりもカサカサと乾ききっている

さっき僕を追い越して行った
小さな子供が枯葉を一枚拾い上げて
母親に自慢をしている

きっと一番きれいな色合いの枯葉を
見つけ出したのだろう
子供の手の中で震えている
枯葉の嬉しそうな様子
子供の心にそっと刻まれる鮮やかな色彩が
いつか子供の胸に蘇ることをと

僕もこの公園からやがて歩き去る
僕の心を染め上げた印象の余韻に震えながら