風のささやき

夏の夜の星屑

昼間の暑さが和らいだ星空に
ほっとした星屑がこぼれ落ちた
気を抜いてしまえば星屑さえも
夜空にとどまれるものではないと
   
   ○

星屑はどんな術を持って
夜空に居座っているのだろう
僕は小さな二本の手に力を入れて
顔を赤く頑張る
星屑を思ってみたりする

  ○

真っ暗な夜空に
燃え立つように消えた星屑
滑り落ちて行ったあの暗がりは
とても寂しい場所ではなかったか

自分のいる場所を
誰かに知って欲しくて
星屑はあんなに明るく
燃え上がったのではないか

  ○

旅を終える星屑が
夜空から降るときに
人はその星屑に願いをかける
星屑がどれだけ慌てふためているのか
気づくすべも無く

   ○

星屑と星屑との間には
言葉が通じあうのだろうか
そうでなければ
いつまでも夜空で一人
星屑は寂しく流離うままだ

   ○

星屑よ
この星めがけて落ちてきたのは
僕らの場所が言葉に満ち溢れているからか

けれど僕らの言葉だって
どれぐらい通じ合えているかは
心もとない限りだよ

   ○

真夜中に一人 耳を澄ませる夜空
僕の溜息の他には
何も聞こえてはこないよ

もしかしたら夜空に一人でいる
星屑 お前と
言葉が取り交わせたら僕も
寂しくはなくなるのだろうけど