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風のささやき

春の畑

枝垂桜は
風にその身をよじり続け
眠っている間にも
散ってしまう

桜色の花びらが
印を残す
畑を掘り返す

僕が休むあいだにも
歩みを止めない
速足の春がいる

  ○

土筆の芽吹く地面を
子猫がかぎまわる

春の匂いで
体を大きくしようとする

今しばらく
待っていておくれ

土を掘り返したら
もっと春が香るから

  ○

鍬を握ることもない腕が
快い悲鳴をあげる

薄い汗とともに
体の中に目覚めるものがある

こんな疲れなら
いくらでも欲しい

  ○

太陽の優しい陽射しが
畑一杯に降り注ぐ

何よりの恵みだ

いつまでも快く
作業を続けたくなる

  ○

土にまみれた手を
用水路で洗う

長く手をつけていられない
雪解けの青い水は
まだまだ冷たい

  ○

ビニールの窮屈な鉢から
広い畑に移り住み

唐辛子やトマトの若葉が
嬉しそうに
風に揺れている

どこまで根を深く
天を掴めるかは
みんな次第だが

  ○

如雨露から注ぐ
水は糸をひき
たくさんの光に潤む

気分はまるで神様だ
こんなにきれいな
光の恵みを
空からこぼしている

春の畑を耕して @秋田 Last Updated 2026/4

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