風のささやき

大聖堂で

あなたは青白い光で体を包み
静かなまなざしで僕を見つめている
その高い高い静かな天空の高みに
僕が近づく術はあるのだろうか

赤い服の従者のように
あなたの傍ら
智恵深い言葉に頭を垂れて
時間を過ごす術は

毎日繰り返す後悔の数を
積み重ねた階段では
その高さには届かない

一思いに飛びあがる
白い天使の羽があれば
子供のような無邪気さで
あなたの名前を呼びながら
空を跳ね上がって行くものを

羽の無い僕は
油断を見せない日々の合間に
その手がかりを見つけようと
目を細めて顔つきを悪くするばかり

この大聖堂の中でも
手がかりを手にすることはできずに
しょんぼりと
大聖堂から足を踏み出す僕の瞳には
あなたの姿が傷のように忘れられずに刻まれた

十字架を戴いた大聖堂の屋根の上
白い飛行機雲が棚引いて通る
けれどあなたの心の高みは
その遥か先の先

こんな無力な者の悪あがきでは
きっと触れることも
できないところに と