飛行機の中で
君の横顔を分断するように 窓の外には水平線が横たわっている その色合いは落ちていく太陽に赤く 突然に翼を傾けて 天空に斜めに沈む飛行機 それに合せて太陽も 滑り落ちる速度を速めた 時間を飛び越えようとする試みが 何故か悲しく思えていた ○ クリスマスのもみの飾りの上で 天使たちがファンファーレを吹き鳴らす そんな祝福された世界に 暮らしているとは 到底思えなくって ○ 暗い画面を覗き込む あなたの横顔が病的に青白い 輝いた眼球は爛熟した卵白のようだ どんな痛んだ映像の あなたは受信機になっている ○ いつの間にか朝焼けが 僕の瞳に沁みてくる また逃れられない一日の始まりだ 休み足りない僕をまた 慌しい思いへと召喚する ○ 光の天使が広い羽根を広げたような 滑走路に迎えられた 降りていく行く機首を暖かく包んでくれるようで けれど近づくにつれてそれは ありきたりの滑走路 飛行機は怒ったように 二、三回 地上を蹴りつけて それから悲鳴を上げながら 地上に落ち着いた