風のささやき

日曜のお昼に

嗚呼12時の 鐘が甘く響いている
ゆっくりとした 日曜のまどろみの上にも
窓辺からの 明るい日差しが
顔の上に 届こうとする

そろそろ 赤い花の飾られた
まぶしい テラスにも
窓を開けた人々が 顔をならべて
ゆっくりと表の気配に 触れてみるころ

石畳を我が物顔に 転げまわっていた陽射しは
人々に主役を 譲るため
動くことを すっかりとやめた
それを いぶかしく思ったのか
小犬が地面に向けて ひとしきり吼えている

空を キャンパスに見立て
飛行機が 白い文字の書き込みを入れる
それは 誰に当てたメッセージ

「日曜日のお昼を ゆっくりとお楽しみください」とか
きっとそんな 悠長な言葉を
なぞっているんだと思える 空から落ちそうな速度
眠りから覚めたばかりの 目にはけど
少し 読みにくいかも知れない

僕は 午前中に見た
絵の印象を 消化することに精一杯で
まだ朝の すがすがしい気配を残す
黄色の風に 吹かれたまま
こんな穏やかな 日曜の昼下がりにも
少しむっつりとした 顔をしているから

テラスの椅子で コーヒーの温かな
湯気のぬくもりを 楽しむ
心のゆとりを 感じられないままで