風のささやき

紫陽花

一粒ごとの 雨を弾くたび
色を変えている 紫陽花の花
色が変わるたびに 雨の音色も変わるようで
だから雨脚も お前の上で楽しさ覚え強くなる

一体 誰のために
そんな華麗な 変身を続けるの
晴れ間に遊びに来た 蜜蜂だって
もうお前だと 分からなくなるだろうに

だだ雨音との たわむれに
あるいはゆっくりと這う
カタツムリの道しるべ
虹さえもが その色彩に学びたいと
お前の上に 顔を出している

僕も 一息ごとに色を失う
弱い気持ちならば
たくさん持ち合わせているけれど
その花束ではきっと
誰も喜ばせることはできず
しょぼくれて 雨傘に隠れて
お前の楽しい色合いを
素直に 驚いているだけ

きっと紫陽花は
失われない夢の ほとりに咲いている
打たれる雨にも その時々の色を楽しみながら
決して 消え去ることのない・・・・・