風のささやき

生きるほどに

生きれば
 生きるほど
  生は果てなく

歌えば
 歌うほど
  歌は貧しく

 踏みしめるほどに
 ゆらめく大地
 目覚めるほどに
 悲しい朝陽
 風は流れて
 僕の口をふさぎ

悲しめば
 悲しむほど
  悲しみは一層深く

漆黒の夜より
 見えなくなる目
  孤独に震えて
   かみ合わない歯

交われば
 交わるほど
  人は寂しく

見つめれば
 見つめるほど
  この心は病んで

 弱りきっている
  僕の目線
  僕の声
  僕の両足

もう一度高く
 投げ上げろ
  ひばりよりも早く遠く
   澄んだ風景に魂を

走り出せば
 走り出すほど
  あこがれは遠く

目をつむれば
 目をつむるほど
  僕をさいなむ夢のかけら

涙とともに
 僕をねむらせない
  ひりひりとした生のかけら