風のささやき

人生の澱

静かに降り積もる雪は
人生の澱のように
いつのころから泣きそうな
灰色の空に降りだしました

冷たい空気を身にまとう
白い雪の結晶は舞い
真っ黒な心の底を
白く埋めていきます

ーそんな雪の乱舞がもう
 やみそうもない僕の心に
 白い吐息を吐きながら
 あてどもなく黙り歩く
 僕のけなげさ

 それでもときおり
 底の見えない空を見上げて
 厚い雲に隠された
 北極星の輝きを思ってみる

かじかんだ夜に
心は凍てつき静かにきしみ
銀色の涙を流すのですが

不思議なことに
深い知恵に澄んだささやきが
聞こえてくるのは
そんな静けさの底からなのです