風のささやき

朝に

夢の中に
あなたのことを思い
泣いていた朝

目覚めたときのその顔は
百年もの前に飛び去った
白い鳥の印象のように
かすかな輪郭にしか描けないまま

窓をさす光りは残酷に
目覚めたくない僕の頬をたたき
喧噪にまた僕を呼び覚ます

眠りの淵から
僕は手に力を入れて
一日の重さのしかかる
体をまたもちあげようと
そんな繰り返しの毎日の
意味もとうに忘れたまま

白々しい朝の光には
空虚なもの悲しさが漂い
僕一杯を満たしていた

僕はもうすっかりと諦めて
また一つため息をついてみて