風のささやき

超えて行く者

越えて行く者として
僕は歩いて行かなければならない
遠く夕日を鎮めてゆく
あの地平の先にまで

呼ばれ続けるものの高ぶりに
母の胸に眠った郷愁にも似て
鳥たちの眠る合間にも
目をつむる夢に心を染めて

毎日に姿を変えながら
足跡も残さず空の彼方に
消えてゆく者として

僕は歩いて行かなければならない
風に吹かれてかすかな
苦しそうな笑顔を浮かべながら