風のささやき

七月の終わりに

暦をめくっていたら
七月ももう終りかと
窓の外広がる
青い空を眺めた

何度目の七月だったろう
むし暑い風は
薄手のカーテンの
部屋に遠慮なしに吹き込んで
冷たい一杯の麦茶などを
喉の渇きのご馳走に変える

ベランダでは白い洗濯物が
ひときわ強い日差しに触られて白く
見下ろせば公園に
笑い声を上げる沢山の子供たち

まだ夏休みは始まったばかり
宿題のことを心配する必要もなく
絵日記のページが増えてゆく毎日を
楽しみにできる
輝く瞳が可愛らしくて
何かいいことが
沢山訪れるようにと思う

アスファルトは
夏の陽射しに銀を照り返し
夕べの涼しさのために
買ってきた風鈴を早速つるす
狭い部屋の中を
短冊が赤い金魚の尾ヒレのように泳ぐ

最後の何日かでもう八月へ
遊園地にも海にも人があふれ
暦に追い立てられながら
生活を続ける僕はまた
軽いため息をつき
いつか足下をぬらした
海辺の波の新鮮な感触を
思いだそうともするのだが