風のささやき

夕暮れ

血の滴るような夕べ
青い静脈を
遠い記憶は流れて

ワインのような酩酊に
僕が酔いしれるとき
薄絹に棚引く雲のかすかさが
しなびれた心臓を打ち抜き

すすきが光り金色の
赤とんぼが飛びまわっていた
なくした距離に向かって
夕闇に泣きながら
どこへともなく走り出したくなる