風のささやき

病い

母よ 僕は病んでいる
重たい自分の存在に
押しつぶされて蹂躙されて
時々は血を吐き
髪を引っ張り目をむいて
青い闇夜の三ヶ月に
熱にうなされた祈りを捧げる

肉に食い込む足枷で動けない
砕けない壁を殴って拳は痛い
悲鳴を上げたくても
舌がなくなってしまった
冗長なお喋りで
使い減らしてしまったから

逃げ回る生を追い立てる
秒針を止めてくれ
耳元の脅迫を粉々に壊したい

黒猫の水晶体は
未来を塗りつぶす
黒い薔薇の茨に
絡み取られて痛む夜に
鼓動は赤い血潮の悲鳴をあげる

おかしくなくても笑う
顔をはぎとりたい
外れない不気味なゴムマスク
瞳は心を伝えない
どこか間抜けた道化師に
たくさんの視線がからみつく

血が止まらない
めまいで視界を失って
天も地も分からずに
宙ぶらりんに生きる日々は
倒れそうな舞踏

けれどやりきれない
寝苦しい夢のなかでは
いつでも癒しの姿を
探しあぐねて泣きそうです